『きまぐれロボット』 by 星 新一
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読んだ/観た日:2020/06/10 - 2020/06/21
★小説/絵本/映画/マンガ/ドラマ/アニメ総合:4.0
ストーリー:4.0
エンディング:4.3
登場人物/演技:3.5
絵/文章/映像/音楽:4.0
世界観/独創性:3.5
おしゃれさ/エンタメ性:4.2
深さ/哲学性:4.0
他の人におすすめ:4.3
あらすじ/概要
お金持ちのエヌ氏は、博士が最も優秀と自慢するロボットを買入れた。オールマイティのロボットだが、時々あばれたり逃げたりする。ひどいロボットを買わされたと怒ったエヌ氏は博士に文句を言ったが……。ショート・ショートでは第一級の作者が綴る、大人と子供のための童話。表題作他35編を収録。
目次
感想/考察
人間のダメなところを特徴的に抽出して風刺的な側面を持っているにもかかわらず、そこには啓蒙も作者の優位性の誇示も感じられない。
ダメだからこうしなきゃ、みたいなものを登場人物に語らせるのが、僕はあまり好きじゃない。場合によるけど。それは大抵の場合が、自分の一番言いたいことを、作中で大きな力を持った人物とか、賢者的な人とか、世の中的に正しいと思われるような人に言わせるっていうところが、なんとなく気に入らない。作品の中の人物は、当然作者の意図で自由に操作できる。作品世界は作者の自由空間であって、その中で信頼度を高めた人物に、作者の個人的な意見を言わせるのは、その意見と相反したときに作品自体に反発を覚えてしまうし、そもそも作中では反論が出来ず独善的なものになりやすい気がする。少なくとも今まで読んできた小説ではそう。
でも星さんの作品にはそういう”星さんの意見”を押し付けられている感じが全くない。これだけ風刺的な作品を書いているにもかかわらず、だ。星さんのその達観した深みが心地よい。